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私は元気です。

…まあ、事故ったけど。
ちゃんと休めと言う事かもしれないなあ。って事で軽い捻挫ですけど病院に行ってます。クビ痛い。
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佐々木ちゃんから葡萄が届いた!ごっつぁんです。
家族で美味しくいただきました。
葡萄を見ると、酢とかジャムとか作りたくて仕方なくなるんだけど、今回は生でいただきました。
この返礼はどうするかなー。

墓参りに乗じて、とりあえずTRIGUNの映画のBDを取りに行けた!まだ見てない…けど…。
というか、手元に届いてるけど全然見れないDVDがかなりあるんだけど。
西遊記(昔のやつ)観たいなあ。夏目雅子美しすぎる。

 夢を見ると、記憶は擦り切れていく。
 思い出すたびに記憶は捻じ曲げられていく。
 きっとそうなんだと思う。

 何が本当かだんだんわからなくなってきて、すべてが自分の妄想じゃないかという気もしてくる。
 この長い一生の中で、確かに魂を揺さぶる人がいたのだと。自分は孤独ではなかったのだと思いたいだけの、妄想。

 「今日も暑いだろうなー。」
 ヴァッシュのぼやきに耳を貸すものはいない。

 夜の間は、教会の隅に転がされていたようだった。
 床の冷たさは、外気の、命を奪われるレベルの気温よりずいぶんマシだ。
 そして、明け方にヴァッシュは何かに乗せられて遠くに投げ捨てられた。
 ナイフを傍に投げられたのは音で分かった。
 「半端な良心だなあ。」
 自分達は人を殺していないと思い込むためだけの行為。
 一体どんな人間が、手足の自由を奪われた状態でそのナイフを使えるというんだろう。

 それでも、ヒトを殺してはいけないという意識があるだけ、昔よりマシなのかもしれない。善悪の意識は以前よりも人の心に根付いている。殺してはいけない、盗んではいけない。当たり前の事をみんな理解している。
 人を殺してはいけないんだと声高に叫ぶ必要はもうない。

 だからもう、これでいいんじゃないか。
 もう、戦うものなんて、何もない。きっと。
 「何もないよ。」
 口をきけばそれだけ体力を奪われる。
 布越しの視界が明るんで、二つ目の太陽が昇り始めた事が分かる。


 その瞼の裏に、人影が落ちた。
 一瞬だけ。

 太陽に雲でもかかったのかもしれないが、ヴァッシュにはそれが人影に思えた。

 例の死神かな。
 けれど、何かしかけてくる様子はない。
 「誰か居るのか?」
 ヴァッシュの声は掠れていた。
 応えは無かった。

 その代わり、上から風に飛ばされてきた小石が、カラカラと音を立ててヴァッシュの傍らに転がってきた。
 それは現実感をもって、ヴァッシュの耳に届いた。
 小石が音を立てるという事は、ここは岩場だという事だ。

 少しもがいてみると、足先が硬い物に当たった。
 腹の力で上半身を起こし、その岩にこめかみのあたりをこすりつける。
 何度か繰り返すと布がよじれて、視界が開けた。
 少し擦り傷も出来た。

 開けた視界に入った光景。
 そこにはやはり人の姿は無かったけれど。

 見慣れた、心になじんだ世界がそこにあった。

 この星に初めて足を踏み入れたときと同じ、砂と、岩と、太陽と、空と。
 そして、ずっと旅をしてきたあの頃と、同じ。
 今より酷い世の中で、ヴァッシュ達は確かに足掻いて、生きていた。


 「死神っていうのも、あながち間違いじゃないかもね。」
 居るかもしれない、見えない影にヴァッシュは話しかけた。
 「僕が死ぬのを待っててくれてるのかな。」
 ああ、優しいなあ。
 僕を守ってくれるんじゃなく、ただ、傍で待っているだけの人。
 優しい死神、そう呼ばれたのは自分だったけれど、本当はそうではなくて。
 もう長い事、そしてこれから、もう少しだけ傍に居てくれる、彼の方が、本当は。

 「…うん、もう少し、頑張るよ。」
 死にたいと思っていたわけではないけれど、それでもいいやと思っていた自分も居た。



 ヴァッシュはナイフの所まで這って行くと、手を拘束している紐の結び目をそのエッジを使って解いた。
 手首まで傷つけてしまったが、多分、すぐにそれは塞がれる。
 こんなに黒い髪になってしまっても、まだヴァッシュには時間が残されているようで。
 いつ終わるか分からない時間だけれど、その時間を放棄してはいけないんだと。生きようとする自分自身の肉体に、それを思い知らされる。

 空は青くて、いつまでも変わらない。それだけを見ていると、昔に戻ったような錯覚を覚える。振り向いたら、皆がいて、少し後ろにアイツも居て。
 もしここで目を閉じて、そして開いたら、あの頃に戻れるような気がした。
 だからヴァッシュは、目を閉じず、空を見据えた。

 砂の入り込んだ服が不快で、大仰な音を立てて、それを払う。
 「あーあ。どうしようかなあ。」
 砂漠の真ん中で、一人。荷物もすっかり盗まれた。ブーツに隠した金がいくらかあるばかりだ。
 バスか、車でも通りがかってくれるといいんだけど。
 赤い服は血が目立たないからいいなあ。
 そんな事を考えながら、とりあえずヴァッシュは見晴らしの良い場所まで移動することにした。
 足は重かったが、心は少し軽かった。





 その死神は、大きな十字架を背負ってはいませんか?
 あの占い師に、そう訊ねれば良かったとヴァッシュは少し悔やんでいる。

 昔、死にたいと思ったことがある。
 けれどそれよりも、死んではいけないという気持ちが強かったから生きていけた。
 心も身体もボロボロだったけれど。
 「…。」
 辛かった時には空を見上げていた。
 あいつの守ったものの事に思いをはせて。きっと、生きて、命をつないでいてくれるだろう彼らを思って。

 わずかばかりの細切れの紙、何枚か。
 すっかりとそれは黄ばんで、劣化していて。
 見ると切なくなるから、もう手に取ることは無いけれど。でも捨てる事も出来ずにずっとコートのポケットに入っている。





 「…ウルフウッド。ほら。」
 髪に、ついてるよ。
 彼らからの祝福の欠片だよ。
 そう呟いて、その黒髪に絡んだ物を丁寧に取ってやった。
 反応は無かった。
 「何、笑ってるんだよ。」
 最後の最後にそんな顔しやがって。
 「なあ、…何で笑ってるんだよ。」
 答えは本当は知っている。
 手の中の紙片を握りつぶしそうになるのを辛うじて堪えた。

 もし彼の息が仮にあったとして、もう、ヴァッシュが彼の大切なものに触れる事を、きっとウルフウッドは嫌がらないだろう。
 この手で、あの子たちを抱き上げても微笑んでいるだろう。

 それが分かるから、辛い。
 いっそ僕なんか信じないでいてくれたままの方が、どんなにか良かったろう。
 だってもう僕は、
 「君の事を裏切れないじゃないか。」
 口に出した。
 聞こえてるか。なあ、ウルフウッド。
 「聞こえてるよな…。」

 こんなに近くにいて、彼の声が聞こえない。
 聞こえるのはただ強い風の音だけだ。
 「やっぱりお前は酷いヤツだ。」
 ヴァッシュは、口元だけで笑った。

 この星の治安は昔と比べるとずっと良くなっている。ただそれはあくまでも比較の問題で、それなりに危険な場所や時間帯というものは、やはりある。
 無用なもめ事を避けるために、そんな場所にわざわざ足を運ぶ必要はない。
 ただ偶然、その町の教会は外れの方にあって、さらにその日全ての太陽が沈む時間はいつもより早い時間だった。
 そして少し油断もしていたんだと思う。
 牧師様がすべて清廉潔白で綺麗ごとを並べて生きているわけではないと、ヴァッシュは身に染みて知っている筈だったのだが。

 (そうは言ってもあの男の根本は善良だった。)
 そう思いながら、聴覚だけを頼りにヴァッシュを拘束する人間たちの数を確認する。
 足音の種類からすると、5人。
 耳を澄ますと、悪魔憑きだとか何とか言われているのが聞こえた。
 牧師と例の占い師だ。

 たとえ悪魔憑きでも死神が憑いていても、憑かれている相手をこう簀巻きにして金品を巻き上げていい理由にはならないだろうに。
 理由なく人を襲うには、やはり商売柄、良心の痛みを感じるのだろうか。
 話しかけようかと思ったが、猿轡をかまされているので、それも叶わない。それに、無意味に抵抗するのも面倒で、動いて現状を変えようとは思えなかった。
 傍から見たら、黙って転がって怯えているように取れたろう。

 教会の床は冷たくて、目隠し越しに見える光は微かなものだ。
 その薄暗い教会に、午後6時を告げる鐘が響き始めた。
 そのどちらにもいい思い出は無い筈なのに、懐かしさに涙がこぼれる。
 目隠しをされていて良かったな。そんな事をヴァッシュは思った。

 このままこの心臓の上に、銃弾を撃ち込まれたらこの時は終わるのだろうか。
 男たちの手が、ヴァッシュの縛られた腕を掴んだ。





 無音の世界。
 ヴァッシュはその世界に住んでいる。
 ヒトの言葉や雨風の音や、そういったものは耳には届いている。
 けれど心に響くことはなく、奇妙な静けさの中にヴァッシュは独りで立ち尽くしている。
 すべての会話に情報以上の意味はない。ただの記号と同じだ。
 通り過ぎるにぎやかな街並みはまるでサイレント映画のようで現実感が無い。

 その世界をヴァッシュは選んだ。時に胸をざわつかせる物に出会う事はあっても、それは決して新しい出会いではない。
 過去の痕跡に心を抉られているだけだ。

 それだけ。
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